2018年9月15日(土)〜9月29日(土)
休館日 18日(火)・25日(火)
開館時間 10:00〜17:00
金中高貴
西島大介
藤伸行
リスカちゃん
qp
星川あさこ
宮下大輔
KOURYOU
小林椋
やとうはるか
大野陽生
ユアサエボシ
堀至以
たんぱく質
茨城県が管理する映像資料
郷土資料館の収蔵品
パープルーム予備校
梅津庸一
パープルーム予備校生
安藤裕美
アラン
吉田十七歳
シエニーチュアン
わきもとさき
『パープルーム大学附属ミュージアムのヘルスケア』について
郷土資料館に陳列されている品々は多岐に渡っている。よそ者の自分にとっても常陸太田市の歴史を追体験できてたいへん興味深い。しかし、よくよく考えてみると全国の市町村にある郷土資料館はその土地固有の歴史を伝えているだけではない事に気付かされる。郷土資料館という形式はミュージアムの原形と似ているのではないかという事である。美術館(アート・ミュージアム)は今でこそ博物館や科学館、図書館などとは区別されているが、16世紀以前はもっと区分が曖昧でその土地の有力者や学者が個人でありとあらゆるものをコレクションし飾りつけた部屋だったという。今回、わたしたちパープルームは現代美術だったり、それに隣接する領域に携わる人々の作品やその副産物を梅津会館に運び入れ収蔵物と融和的に接続したり異化を生じさせたりする。例えば2018年に制作されたにも関わらずはるか昔の時を内包するオブジェクトもあればその逆もあるだろう。
また展覧会をつくるということは「キュレーション」という要素を避けては通れない。今回は茨城県から公的な委託を受けて行う、いわば企画内で企画を行うという入れ子状の構造になる。キュレーションという言葉の語源はcurare(世話をする)であるが、今日キュレーターと言えばプレーヤーとして自らのプロジェクトを遂行する者という印象が強い。本展はそういった時流を前提にキュレーションの在り方をあらためて考える場でもある。
ところで地域アートという言葉が定着し、芸術祭が全国各地で開催されるようになって久しいが、その盛り上がりとは裏腹に全国の美術館や博物館の予算は減少傾向にありコレクションの追加はおろか作品の修繕もままならない館も多く存在する。本展『パープルーム大学附属ミュージアムのヘルスケア』は美術館に眠る作品たち、現代そして過去の作家たち、地域アートに関わる人々を概念の上で「ケア」することを志向する。と言っても何かが目に見えて解決することはないだろう。しかしある問題(病気)を治癒させたり、告発することだけが美術/アートの役割だとは思わない。本展では、地域住民や観光客に対して気の利いたうわべのサービスを提供するつもりはない。美術である必然性を人との交感や土地との関わりに代理させると、美術はより一層病んでいくのではないだろうか。本展は自己完結した作品であるが、ある一部の人にとっては人生を賭けた参加型アートと言えるだろう。
この期間限定のミュージアムは明治維新後の「近代の日本」と広義の意味での「展覧すること」を基礎として様々な水準の人工物や生活、教育を連帯あるいは破綻させる抽象度の高い空間になることが予想される。
梅津庸一(美術家・パープルーム主宰)
パープルームについて
パープルームとは神奈川県相模原市にあるパープルーム予備校を拠点にした美術の共同体である。全国各地から集まった6人が半共同生活を営みながら活動している。また多くの人々がそこに出入りし緩やかなコミュニティを形成している。